病院に着くなり、診察室に案内された。
そこには、モニターとちょっと変わった形の椅子（これを内診台という）があった。
患者である私は、パンツを脱いでそこに鎮座した。
「はい、動きます」と看護師さんの合図のもと、椅子はグオーンとお尻があがるようスライドした。
私は思わず、「うぉ―」と言ってしまった。

そこで「どーもー」とドクター登場。
私は、「おはようございます」といいながらも、自分のマヌケな格好に、（この病院の内診台は対面式なので、ドクターの顔の近くに、私のムキダシになった下半身があるのダ）バツが悪かった。

「では、調べてみますね」とドクター。
緊張と不安とあまりにもドクターがテキパキとしていたので、何が行われていたのかよくわからなかったが、私が正気に戻った時には、ドクターは内診台を離れ、顕微鏡をみながら、
「あー、あった！いることはいる！！」そう言っていた。

その言葉に私は急に不安になった。 「もしかして、もしかして、夫に精子がないの？」

その後、別室で説明を受けた。
「今回の検査は、フーナーテストといって、フウフカンケイをお持ちになった後、元気な精子がどのくらい進入できるかを顕微鏡で調べる検査です。
今回の結果は、精子がほとんどないの。
これじゃぁ、妊娠できないの。
まだね、排卵するのにもう少し時間がかかりそうだから、明日フウフカンケイをもって、あさってもう一度来てくれる？」

私は、衝撃のあまりドクターの言ったことが飲み込めなかった。
なんとかして家にたどり着いたが、内診のショックとドクターの説明とのダブルパンチで、寝込んでしまった。

約束どおり、翌日フウフカンケイを持って、翌々日病院へ行った。
結果は×（バツ）。

「次は、ご主人の番だね。」
ドクターは言った。

もう私の気持ちは、どん底である。
「夫が原因だなんて・・・。
そんなこと、夫にはいえるわけがない。
あー、どうしよう・・・。
どうしたらいいのだ、いったい。
あー、あー、どうしよう・・・」

私は追いつめられていった。